産業医は企業に常勤または非常勤で所属して、労働者の健康管理をはじめ職場の作業環境の維持・管理に携わっています。医療機関に所属する医師とは異なりケガ・病気の確定診断や治療には関与しませんが、健康相談や安全衛生教育など、労働者と企業にとってのメンター役として機能しているのが特徴です。
一定以上の規模の企業には産業医の選任が義務づけられていますが、具体的にどのような職務を担い、どのようにして労働者の健康管理などにあたるのでしょうか。
産業医の要件や医療機関に所属する医師との違いをはじめ、企業が産業医を選任する流れや留意点、主な仕事内容についてご紹介します。
産業医とは、労働者が安全かつ快適な環境で働けるよう健康管理や安全衛生教育に携わる医師です。職場環境や作業環境を医学的な知見をもってチェックした上で、企業の業務が安全に遂行できるようサポートする役割も持っています。
まずは産業医として活動できる医師の条件や臨床医との違い、企業や労働者にとっての産業医の重要性を確認していきます。
産業医になるための条件は医師免許を保有し、厚生労働省令で定める必要条件を満たした人でなければならないと、労働安全衛生法で定められています。
産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。
出典:e-Gov「労働安全衛生法第13条第2項」
産業医に必要となる具体的な条件は、労働安全衛生規則第14条第2項に定められています。現在医師免許を持っている方が産業医になるには、日本医師会の産業医学基礎研修、または産業医科大学の産業医学基本講座を受講するのが主流です。
法第13条第2項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。
出典:e-Gov「労働安全衛生規則第14条第2項」
1.法第13条第1項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
2.産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの
3.労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
4.学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
5.前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者
産業医と一般的に医師と呼ばれる勤務医・臨床医はともに医師法第1条で定める公衆衛生の向上・増進に寄与しており、医師免許を持っている点も共通です。しかし産業医の活動場所や仕事の内容・スタンスは臨床医とは異なります。産業医は原則診療を行いません。そのため、産業医の業務に限って言えば医師法第19条の応召義務が適用されない点に留意が必要です。
“医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。”
出典:e-Gov「医師法第一条」「医師法第十九条」
“診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない”
産業医の仕事内容には健康教育・衛生教育や職場巡視が含まれています。そのため産業医は企業と労働者双方の利益を尊重しつつ、中立的立場で活動します。産業医も臨床医も健康指導を行いますが、産業医の立場で行う健康指導と臨床医としての健康指導は目的が異なる点にも注意が必要です。
【産業医と臨床医の違い】
産業医 | 臨床医 | |
---|---|---|
活動場所 | 企業・団体の職場 | 企業の医務室・医療機関・在宅医療の訪問先 |
対象者 | 労働者・兼務役員 | 病気・ケガをした患者 |
主な仕事内容 | 健康状態の維持・増進をサポート(予防医学がメイン) | 診断・検査などの治療行為を実施(臨床医学がメイン) |
立ち位置 | 労働者と企業の間の中立的な立ち位置 | 患者や家族の意向を尊重する立ち位置 |
応召義務 | なし | あり |
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働き方改革の推進の一環として長時間労働者に対する面接指導等が強化されるなど、産業医の重要性は年々高まる傾向です。2019年の労働安全衛生法改正では産業医の独立性・中立性が強化されており、専門的な知見を活かして活動できる環境も整備されています。
産業医の前身は工場医で、1938年に工場法が改正された時点では常時500名以上の職工(労働者)がいる工場に選任義務がありました。1947年には労働基準法が制定され、医師である衛生管理者の選任義務に変更されました。1972年に制定された労働安全衛生法で、法的に「産業医」という立場が確立され、現在に至ります。産業医という言葉は1930年代から学術関係者の間で予防医学の指導者という意味合いで使われていました。
2000年代に入ってからハラスメントという概念が浸透する中で、労働者のメンタルヘルス不調の問題が増えてきました。それに伴い、2015年にストレスチェック制度が導入され、高ストレス状態の方への面接指導や就業する上での配慮措置が産業医の職務として追加されました。
さらに2017年の労働安全衛生規則などの一部改正では、以下の情報提供義務が事業者に課せられました。
1.医師・歯科医師からの要請に応じ、労働安全衛生規則第44条に基づく健康診断の結果
2.時間外・休日労働時間(所定外労働)が1カ月あたり100時間を超えた労働者の氏名・労働時間に関する情報
産業医が、事業者のリスクマネジメントや労働者への個別対応に携わる機会が増えているのも特徴的です。
日本医師会認定産業医制度の認定者数は、2018年1月の段階で10万224名(※1)です。日本医師会が1990年に認定産業医制度を創設したことをきっかけに、毎年平均約2,300名のペースで産業医が増えています(※2)。
※1 出典:日医ニュース2019年2月20日「『日医認定産業医』が10万人を突破」
※2 出典:日本医師会「年度別認定産業医の推移」
50代以下の認定産業医が全体の約55%を占める一方、2008年と比べると産業医の高齢化が進んでいます。日本医師会では、各都道府県医師会が連携して産業医と事業者のマッチングを進めていく考えを示しており、今後も産業医は増加していくでしょう。
なお産業医科大学が主催する産業医学基礎研修会を修了した医師も、所定の手続きを経て日本医師会認定産業医として認定されています。
【2014年~2018年の産業医の推移(単位:人)】
認定産業医の総数 | 新規登録者数 | |
---|---|---|
2014年 | 90,166 | 2,299 |
2015年 | 92,567 | 2,401 |
2016年 | 95,487 | 2,920 |
2017年 | 98,028 | 2,541 |
2018年年11月27日時点 | 99,799 | 1,771 |
(参考)1990年 | 11,337 | – |
労働者が常時50名以上の事業場については、産業医の選任が義務づけられています。労働者が50名未満の事業場も、任意で産業医を選任して差し支えありません。産業医の種類や選任の流れ、産業医の選任によってもたらされるメリットを解説します。
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産業医の種類は、非常勤の「嘱託産業医」と常勤の「専属産業医」に分かれています。それぞれの要件・特徴を次から解説します。
嘱託産業医とは非常勤で選任される産業医です。嘱託とは、正式な雇用契約によらず特別な知見やスキルを持つ方に仕事を依頼する仕組みです。
産業医と企業が業務委託契約を結ぶため、選任先の産業医業務に支障がなければ他の事業者の産業医として選任されたり、開業医と兼務したりすることもできます。勤務医であっても、副業や研究日の外勤が認められていれば嘱託産業医に就任可能です。
国内では産業医の大部分が嘱託産業医で、日常診療の傍ら労働者や企業を医学的な立場から支援しています。必要に応じて自身が所属する医療機関などで診療を行い、健康の維持・増進に寄与しているのが現状です。
専属産業医とは常勤で選任される産業医です。独立性・中立性をもった立場で産業医としての仕事を行います。原則として他の事業場と兼務できませんが、以下の条件をすべて満たす場合には他の企業の嘱託産業医と兼務できます。
以前は「地理的に密接している事」といった要件もありましたが、上記「基発0331第5号」にある通り「急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて遠隔で産業医の職務の一部を実施することへのニーズが高まっていることを踏まえ」2021年に改正されております。
労働者数の基準は後述しますが、業務で危険な物質を取り扱う職場や坑内業務、深夜業を含む業務といった健康リスクが高い事業者に、専属産業医の選任を義務づけています。専属産業医の選任が義務づけられている業務は労働安全衛生規則第13条第1項第3号で示されており、主な業務は次のとおりです。
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産業医の選任は事業者の業種にかかわらず、常時50人以上の労働者を使用するようになってから14日以内に行うことが義務づけられています。産業医探しや契約手続きに時間がかかるため、早い段階から産業医の選任準備を始めておくのがポイントです。
産業医を選任した後は、できるだけ早く所轄の労働基準監督署に「産業医の選任報告」と産業医の医師免許証の写しを提出する必要があります。郵送や電子申請での提出も可能です。
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選任する産業医数は、常時使用する労働者数が50~3,000人であれば1人、3,001名以上なら2人です。前述の通り、業務で危険な物質を取り扱う職場などでは専属産業医を選任する必要があります。
【選任する産業医数】
常時使用する労働者数 | その他の事業場 | 有害業務に500人以上従事する事業場 |
---|---|---|
50~499人 | 嘱託1人 | - |
500~999人 | 嘱託1人 | 専属1人 |
1,000~3,000人 | 専属1人 | 専属1人 |
3,001人以上 | 専属2人以上 | 専属2人以上 |
「常時使用する労働者」には正社員だけでなく、契約社員やパートタイマー・アルバイト・派遣社員も含まれます。例えば、週1日3時間働くパートタイマーや月2回働くアルバイトでも、単発業務でなければ常時使用する労働者としてカウントされる点に留意が必要です。
自社の従業員が「常時使用する労働者」に当たるのか不安がある場合には、管轄の労働基準監督署に確認するとよいでしょう。
また「事業場」の主な定義は以下のとおりです。企業全体を1つの事業場とは考えないのでご注意ください。
※参考:厚生省通達(発基第91号昭和47年9月18日)「労働安全衛生法の施行について」、
東京労働局「労働安全衛生法では、事業場ごとに衛生管理者を選任したり、衛生委員会を設置したりすることになっていますが、そもそも事業場とはなんですか?」
産業医を選任するまでの大まかな流れと留意点について解説します。
1.産業医を探す
定期健康診断を依頼している医師や職場近くの医療機関に、産業医の業務を依頼したい旨を相談します。産業医紹介サービスを利用するのも一つの方法です。ただし、産業医の資格があっても自社の代表や事業場の代表者は産業医として選任できないのでご注意ください。
2.産業医と打ち合わせる
労働安全衛生規則第14条第1項に沿って、依頼する業務内容を確認します。複数の産業医と契約を結んで業務を分担することも可能です。契約期間や産業医に支払う報酬も、この段階で提示します。職場巡視の頻度やタイミングについてもあらかじめ決めておくとよいでしょう。
3.産業医契約を結ぶ
業務内容や報酬などに産業医と企業の双方が合意できたら、産業医契約を結びます。嘱託産業医の場合は業務委託契約を締結するのが一般的ですが、専属産業医では雇用契約として産業医契約を結ぶ場合もあります。
4.業務開始
契約に基づいて産業医の業務が始まります。職場の管理職や衛生委員会(安全衛生委員会)のメンバーと早い段階で顔合わせしておくと、業務がスムーズです。
5.労働基準監督署
産業医の選任報告を所轄の労働基準監督署に提出します。選任年月日の欄には、産業医契約書で定めた業務開始日を記載すれば問題ありません。なお、選任報告をしない場合は産業医が不在とみなされ、労働安全衛生法第13条第1項違反として50万円以下の罰金刑を科せられる場合があります。産業医の選任報告は忘れずに提出してください。
産業医を企業に設置することで、従業員の健康意識が高まるメリットがもたらされます。健康診断後のフォローアップを通じて、生活習慣病の予防・改善につなげられます。従業員の希望に応じて産業医と相談できる機会があれば、メンタルヘルス対策にも効果を発揮するでしょう。心身の健康バランスを整えるチャンスが増える結果、従業員・組織のパフォーマンス向上につながるのです。
勿論、産業医を設置すると業務内容や訪問・巡回頻度に応じた報酬を支払う必要があります。しかし、法令を遵守した健康管理を実践している点を従業員やステークホルダーなどの社外に発信できるので、企業のイメージアップも期待できます。
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産業医を初めて選任する必要が出てきた、本社には産業医がいるが、地方の拠点でも産業医選任義務が発生した、既存の産業医が退任する事になったなど産業医を探す必要があるケースは様々です。
では、産業医を探すにはどうしたらよいのでしょうか?産業医の探し方について詳しく紹介します。
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産業医は労働安全衛生法第13条(※)により、一定規模の事業場ごとに選任が定められています。また、同じ労働安全衛生法の第66条(※)では、事業者に医師による健康診断を実施する義務を課しています。こちらは産業医と異なり、事業場の規模に関わりなく、労働者を雇用している場合には義務が発生します。
産業医選任も健康診断受診も「労働者の安全と健康を確保すこと」を目的とする労働安全衛生法が根拠法となっており、健診機関の医師は産業医資格を保有しているケースも多いです。
健康診断を実施している健診機関に事業場の従業員が50名を超えたので、産業医を選任したいと相談をしてみると、健診機関所属の産業医を紹介してくれるかもしれません。
健診機関の医師は毎年事業場の従業員の健診結果を確認しています。勿論、健診医個人が従業員の健康状態を把握している訳ではありませんが、毎年の受診結果の推移を健診機関は保有しているので、従業員が産業医に健康状態を相談した際に、過去の推移を確認しながらより的確なアドバイスを実施する事が出来るでしょう。
また、事業者は従業員に健康診断を受診させたのちに、健康診断実施後の措置を実施する義務があります。一般的には健診結果を産業医が確認するのですが、健診結果が事業者に提出されるタイミングと産業医が来社する時期が合わないと、事後措置の実施に時間がかかってしまう事があります。健診医が産業医であれば、効率よく事後措置を実施出来るでしょう。
前述の通り、健診機関の健診医が産業医資格を保有している場合には、産業医の選任を相談出来るケースもあります。
ただし、健診機関の産業医が、実際に事業場のスケジュールに併せて訪問し、各種面談や衛生委員会への出席が可能かは分かりません。また、産業医資格を保有していても、産業医としての実務経験が豊富とは限らないため、衛生委員会への出席と職場巡視は引き受けるが、例えばメンタルヘルスに関わるような面談に関しては対応出来ないと言われてしまう可能性もあります。
医師会とは、
“「医道の高揚、医学及び医術の発達並びに公衆衛生の向上を図り、社会福祉を増進すること」”
を目的に、地域医療の推進発展に関する事項等に関して様々な活動や提言を行っている公益社団法人です。
※参考:日本医師会について
産業医の多くは日本医師会が認定した「日本医師会認定産業医」になります。医師会には地域の開業医が多く加盟しており、産業医に関して相談が出来る事があります。
前述の通り、多くの産業医は日本医師会が認定しています。医師会によっては産業医活動を希望する開業医の情報を持っていて、紹介をしてもらえる事もあります。
また、全国47の都道府県各地に地域の医師会があるので、地方で産業医の選任が必要な場合には、まずは相談してみると良いかもしれません。
※参考:日本医師会「各地の医師会」
地域の医師会が産業医の紹介をしてくることもありますが、実際の契約は各産業医と個別に結ぶ形になります。
多くの場合、契約書類などは自社で準備をする必要があるので、産業医制度に詳しくない場合は特に双方齟齬がないように慎重に進めていきましょう。
事業場の近隣でクリニックを開業している医師に産業医の相談をしてみるというのも良いでしょう。最近は多くのクリニックがホームページを設けて、専門や外来時間の案内を掲示しています。医院長や勤務医師の紹介ページに「産業医」の資格を保有していると記載されている事もあります。
事業場近くのクリニックの医師が産業医になってくれれば、長期に渡り産業医を務めてくれる可能性があります。
開業医は忙しい事も多く、移動に時間がかかるような事業場だと中々引き受けてもらえないケースが多いです。また、産業医選任後に従業員の増加などがあり、産業医業務に関わる時間が当初の想定より長くなってしまうと、本業であるクリニックの業務に支障が出てくることを理由に退任を希望されてしまう事もあります。
その点、近隣のクリニックであれば時間を効率的に使う事が出来るので、産業医側にもメリットがあり、長く産業医を務めてくれる可能性が高まります。
また、近隣のクリニックの開業医であれば、急遽従業員の面談の必要が出てきた場合など、クリニックの空き時間に面談実施が可能なケースもあります。契約を結ぶ段階でそういった相談が可能かを確認してみるのも良いかもしれません。産業医業務とは直接の関係はありませんが、各種予防接種の実施などの相談に応じてくれる場合もあります。
健診機関に産業医を相談する場合と重なる部分もありますが、クリニックのホームページの医院長や所属医師経歴に「産業医資格」も掲載されていたとしても、産業医経験が豊富にあるとは限りません。相談する前に自社が産業医にどの程度の業務を求めているのかをしっかり見極めた上で相談をしないと、選任後にミスマッチであったという結果になる事もありますので慎重に進めましょう。
また、事業場の近隣のクリニックとなると、従業員の中には既にそのクリニックに患者として通院している方もいるかもしれません。
産業医と主治医が同一人物であってはならないという法令上の制限はありませんが、主治医はあくまで患者の利益を第一に考える一方で、産業医は事業者と従業員の間で中立の立場で業務を行うため、原則、産業医と主治医は別々の方が良いとされています。この点にも留意することが必要です。
昨今は産業医紹介を専門とする業者も増えており、産業医を探す場合に産業医紹介サービスを利用するのが一般的になりつつあります。しかし、産業医紹介サービスの選び方も難しくなっていると感じている方も多いようです。
産業医紹介サービスには多くの産業医が登録しており、企業のニーズに合った産業医を紹介してくれる可能性が高いと言えるでしょう。
また、各産業医紹介サービスにも特色があり、例えば「メンタルヘルス対策に強い」「営業担当によるサポートが充実している」「全国対応」といったサービスの内容に関するものから、「価格」といった費用面のメリットを打ち出しているサービスもあります。
初めての産業医選任、産業保健に関して自社での経験が少ない場合には、「サポートが充実している」産業医サービスがお勧めです。
ポイントは「サポートが充実している」ことをホームページや広告でアピールしているだけではなく、産業保健に関しての業歴の長さや、産業医、産業保健を専門に行っている企業のサービスかといった点を会社概要等でしっかり確認をして問合せるのが良いでしょう。
都市圏ではなく、各地方の産業医選任を検討している場合には「全国対応」が可能な産業医サービスがお勧めです。実際に産業医が必要な事業場の近くに、営業所や拠点を構えているかどうか、ホームページの営業拠点一覧などで確認しましょう。
もし、産業医を選任したい地域の近くに営業所や拠点があれば、ニーズに合った産業医を紹介してくれる可能性が高いです。また、営業担当のサポートも期待できるかもしれません。
予算に限りがあり、どうしてもコストに拘る場合には「費用の安さ」をアピールしている産業医サービスに相談すると良いでしょう。費用面での強みを持つ産業医サービスは各種の問合せから見積までWEBで完結する事も多いです。一点、注意しなければならないのは「費用が安い」ということは、実際に紹介される産業医の報酬も少ない可能性が高いということになります。産業医活動に様々な制約がある場合もあるので注意が必要です。
産業医を依頼したい医師を探す事が出来たら、次は契約締結です。産業医との契約は大きく分けて、産業医と事業場の間で「業務委託契約締結」を締結する形と、事業場が産業医を雇用する「雇用契約」が考えられます。
産業医との契約の中心は業務委託契約ですが、専属産業医や正規雇用の従業員と同じ程度の勤務日数があるような勤務体系の場合には雇用契約が締結される事もあります。
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業務委託契約とは自社の業務、仕事を外部に委託する契約です。産業医以外ですと、例えば、企業に属さず個人でセミナーの講師や司会業などを行っている方は業務委託契約でお仕事をしているケースも増えています。また、芸能事務所も所属タレントとは業務委託契約を締結している事が多いです。
業務委託契約とは「業務」を委託しているため、産業医契約を結ぶ場合は業務内容とそれに伴う報酬をしっかりと定義しておく必要があります。
例えば、
といった内容をしっかりと双方で確認して契約書を作成する必要があります。産業医と企業の間でよく見かける認識の齟齬に、
「産業医として選任されている事業場の従業員ではないからと面談を断られた」
といったようなケースを耳にする事があります。
契約の時間内であれば選任事業場以外に所属している従業員の対応もするのかといった点は認識の齟齬が発生しやすいのでしっかり双方で確認しましょう。
実際、産業医選任事業場以外の周辺の小規模な拠点の従業員の対応も産業医に任せたいと希望するケースは少なくないので、希望がある場合はその旨をしっかり業務委託契約書に盛り込みましょう。
前述の通り、産業医を直接雇用する「雇用契約」を締結するケースはあまり多くは見られないものの、1,000人以上の事業場で専属産業医を選任する場合などは雇用契約を締結しているケースもあります。
労働基準法第15条第1項(※)には、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定されており、雇用契約を締結する場合には産業医との契約であっても通常の労働者と変わらず、下記の労働条件を通知しなければなりません。
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
(3)就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
(4)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
(5)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(6)退職に関する事項 (解雇の事由を含む。
(7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
(8)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
(9)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(10)安全及び衛生に関する事項
(11)職業訓練に関する事項
(12)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(13)表彰及び制裁に関する事項
(14)休職に関する事項
※引用:厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました」
※参考:e-Gov労働基準法第15条第1項
また、雇用契約であれば当然「労働者」として手厚い保護があります。
勤務日数や時間による部分もありますが、基本的には各種社会保険への加入義務、有給休暇や育児休業、介護休業といった制度も利用することができます。
一方で、雇用契約である以上は産業医であってもその所属企業の就業規則に従う必要があります。企業が所謂「36協定 (※) 」を締結して労働基準監督署に届出をしているといった場合には産業医に法令の範囲内で残業を命じる事も可能です。
※参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針
産業医をやっとの思いで見つけ出し、選任したものの、いざ業務が始まってみるとうまくコミュニケーションが取れないケースも少なくありません。産業医と合わない、ミスマッチが起こったと感じた場合にはどのように対応すれば良いのでしょうか。
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産業医との契約が始まったものの、産業医が仕事をしれくれない、思うように動いてくれないといった悩みをお持ちの人事の方も多いのではないでしょうか。そういった場合はまず二つの観点から確認をしてみましょう。
産業医の業務は多岐に渡りますが、労働安全衛生規則14条等(※)に産業医の職務が列記されています。
よくある産業医への不満の一つに、例えば専門外を理由にストレスチェック後の高ストレス者面談をしてくれないケースなどがあります。ストレスチェック後の高ストレス面談に関しましては労働安全衛生規則14条の3に「面接指導の実施」も含めて産業医の職務と定められています。
他にも「健康相談は産業医の仕事ではない」と拒否されるといったケースも見聞きします。こちらも同じく労働安全衛生規則14条の7に定められています。
上記のようなケースはまず、産業医の職務を全うしてもらえるように改めて申し入れてみましょう。
一方で、産業医はあくまで労働者と事業者の間に立って中立の立場で職場における労働者の安全と健康を確保するのがその職務となります。
例えば、パワハラを行う問題社員への個別教育やパフォーマンスの上がらない社員への退職勧奨のような行為は産業医の職務ではありませんので注意しましょう。
※参考:e-Gov労働安全衛生規則14条
産業医の職務を確認したら、次は産業医との契約内容を改めて確認をしてみましょう。あまり一般的ではありませんが、依頼する産業医の職務を限定して契約をしているケースもあります。
一つの事業場に複数の産業医が選任されている場合には、ある産業医は面談の実施のみ、ある産業医は健康診断結果の確認、就業判定のみ、といったように分業制を取っている事業場もあります。
契約内容を改めて確認して、依頼しようとしている職務が契約書に含まれていない場合は、契約内容の見直しを含めて産業医に相談をしてみるとよいでしょう。勿論、契約内容に含まれている場合には契約を履行してもらえるように申し入れましょう。
産業医の職務は多岐に渡りますが、長時間労働やメンタルヘルス不調の休職や復職が多発している事業場では、産業医訪問時のスケジュールはかなり忙しくなってしまいます。分単位でスケジュールを組んでいるケースも少なくなく、時間管理は重要です。
産業医が時間通りに来社しない、突然の訪問キャンセルなどが多発するといった場合には、早急に産業医の交代も検討する必要があるかもしれませんが、悩ましいケースの一つに産業医面談の時間が長い、終わりが読めないといった事があります。
産業医が対応する面談には長時間労働者への面談や高ストレス者面談、休職や復職に関する面談などがあります。
長時間労働が常態化しているような事業場の場合には、限られた時間の中で多い時には十数名の面談を実施する場合もあります。
しかし、産業医面談が長くなってしまい、予定の面談を実施する事が出来ずに苦慮している事業者も少なくないのではないでしょうか。
一方で、産業医側からの声としては、面談時に何も資料が準備されていない、そもそも面談者本人が何の為に面談に来ているのかが分かっていないといったようなケースもあり、効率的な面談をするのが難しいといったお話を聞く事もあります。
産業医の面談時間が長いと感じたら、面談者の情報と面談趣旨を記載した資料を準備して事前に産業医に情報を共有し、面談予定人数などスケジュールもしっかり伝える事で改善を図れることがあります。
また、面談者自身へも面談趣旨を事前にしっかりと伝えたり、産業医に別途健康相談をしたい場合等は改めて時間を設ける事も可能であると伝えたりする事で、効率的な面談が実施できる事があります。
産業医は事業主と労働者の間に立って、あくまで中立の立場で労働者の健康管理を行います。
大前提として法令違反や労働者の心身に重大な影響が予見されるような場合には、当然その意見は尊重し、早急な対応や改善が必要ですが、産業医が労働者側に寄り添い過ぎてしまう意見を出されて対応に苦慮してしまうケースもあります。
よくあるケースとして、復職時の配置転換や時短勤務といった対応が、事業場の実態や業務上難しいにも関わらず、「復職時は必ず時短勤務から開始」「復職時は部署を異動させる」といったような意見を強硬に主張するといった事があります。
産業医と人事との間のやり取りであれば、就業規則や業務の実態上「時短勤務」や「異動」は難しい旨を事前に伝える事も出来ますが、面談時に産業医が面談者本人に伝えてしまった場合は後々大きなトラブルに発展してしまう事もあります。
こういったトラブルを避ける為にも、事業場として対応可能な範囲を事前にしっかりと伝えるようにしましょう。
因みに、復職時の時短勤務や異動に関して法令上実施を義務付ける定めがある訳ではないので、就業規則に特段の定めが無ければフルタイム勤務の復職、原部署への復帰も法令上の問題はありません。
事業者側としては、産業保健に人的なリソースを割く余裕があまりなく、まずは最低限法令遵守の為に産業医を選任したにも関わらず、産業医側からは「ストレスチェック後の集団分析を職場改善に活かすべき」、「今の時代は健康経営が大切で、将来健康経営優良法人取得を視野に入れるべき」といった話があり、それを無下に否定することも出来ず事業者側や従業員が戸惑ってしまうケースもあります。
このように産業医の理想が高く、一方で事業者側の温度は高くない場合には、早めに実態を改めて産業医に伝えた方がよいでしょう。
曖昧な返答を繰り返していると、後々産業医から「やると言ったのに全く前に進んでいない」といったように不信感を抱かれてしまう可能性もあります。
理想が高い産業医は「やる気がある産業医」という見方も出来ます。様々な局面で頼りになる可能性もあります。また、事業者側の状況が変わり、産業保健に積極的に取り組む事になれば大きな力になってくれるでしょう。
また、このケースでありがちなのが、産業医を実際に採用した経営層と現場を回している実務部隊との間にも乖離があるケースです。
産業医に現場の実態を伝えた際に「経営層からは産業保健に力を入れたいという要望があった」といったような話があれば、改めて経営層に産業保健に割くリソースを増やしてもらえるように働きかけをする事も考えられるかもしれません。
産業医は事業主や衛生委員会・職場の管理職などと連携を取りながら、労働者の健康管理や職場環境の維持・管理、作業の安全確保に関与します。事業主側からみると、産業医に業務を委託した上で、労働者の健康管理等を実施する義務が課せられているという見方もできます。産業医の職務は労働安全衛生規則第14条第1項で定められており、具体的には以下のとおりです。
また労働契約法では、労働者に対する安全配慮を事業者(使用者)に義務づけています。あわせて、労働契約の締結・変更にあたっては仕事と生活の調和への配慮も求めています。
(労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
(労働契約の原則)
第3条 3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
出典:e-Gov「労働契約法」
「仕事と生活の調和」はワークライフバランスとも呼ばれており、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会づくりを目標の一つとして定めているのが特徴です。健康で豊かな生活の中には、家族・友人などとの充実した時間や地域参加の時間をもつことも含まれています。
つまり産業医は、労働者が安全に働いて健康に生活できるように医学的な立ち位置でサポートしているといえます。同時に、労働者とかかわる家族・友人の幸福や地域の発展にも寄与しているのです。
産業医は、健康診断の結果に異常の所見がみられた労働者に対し、精密検査を勧めるなど健康保持に必要な措置をとります。
第66条の4 事業者は、(中略)健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
必要に応じて対象の労働者と面談し、生活習慣の改善指導や就労制限のアドバイスなどを行います。就労制限は所定労働時間の短縮や時間外労働の制限、作業内容の変更などが主な内容です。健康状態を回復させるために、休暇取得や休職に対する意見を行う場合もあります。
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職場内でストレスチェックを実施して、メンタルヘルス不全の防止につなげることも産業医の仕事内容です。外部に委託してストレスチェックを実施する企業もみられますが、高ストレス者への面接指導は産業医が担当するのが一般的です。必要に応じて、就労制限や休業をアドバイスする場合もあります。
また、ストレスチェックの結果を踏まえてストレスケア研修を実施したり、企業の人事労務担当者や職場の管理監督者に職場環境の改善を指導したりする産業医もみられます。
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ストレスチェックの実施者を産業医が担当している場合であっても、個人結果の内容を産業医が正確に把握しているとは限りません。面談の前に実施事務従事者などを通して面談者のストレスチェック結果を産業医へ共有しましょう。
面談者自身がストレスチェックの結果を持参する場合には、忘れずに持参するように面談者へリマインドを行う事が有効です。
ストレスチェックは労働者のメンタルヘルス不調の未然予防が主な目的ではありますが、体調面の不調がメンタルヘルス不調へ繋がる事もあります。直近の定期健康診断結果を事前に産業医に共有しおくと、面談時に体調面での相談があった場合に役に立つかもしれません。
また、実際に面談を行う際には、既に高ストレス者と判定され面談申出を行った時期とはストレス状況に変化がある可能性もあります。直近のストレス状況を把握する為に「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」などを用いるのも有効です。
※参考:厚生労働省「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」
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長時間労働者への面談と保健指導も、産業医の仕事内容の一つとして位置づけられています。メンタルヘルス不全や脳疾患・心疾患のリスクを軽減するためにも重要な業務です。
月80時間を超える時間外労働・休日労働を行ったために、疲労が蓄積したと労働者から申告があれば面談を行い、必要に応じて労働時間の短縮などのアドバイスを出します。仮に、産業医がアドバイスした措置が職場で十分に実施されなかった場合は、管理監督者や事業主に健康確保に関する勧告を実施することもあります。
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長時間労働と脳心臓疾患との間には密接な関係があると言われています。厚生労働省も脳・心臓疾患の労災認定に関して認定基準や対象疾病を定めています。
脳心臓疾患を発症する前の1ヶ月に100時間以上の時間外労働を行っていた、あるいは発症する前の2ヶ月ないし、6ヶ月の間に渡って1ヶ月の平均残業時間が80時間を超えている場合には、業務と疾病発症の関連性が強いとしています。
対象疾病も具体的に以下のように定められています。
認定基準に関しては2021年9月に改正が為され、労働時間以外の要素も総合的に判断されるようになりました。
長時間労働の時間が認定基準に達してはいないものの、労働時間以外の要素、例えば発症前に過度な緊張感があり心理的負荷を伴う業務を行っていた、あるいは発症の直前期に業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合や、直前期に短期間の間過度な長時間労働があった場合にも認定基準に達していると評価される可能性があります。
※参考:脳・心臓疾患の労災認定基準 改正に関する4つのポイント
長時間労働者面談を実施する際には直近の定期健康診断結果を準備して、産業医にも労働者の健康状態をしっかり共有しておくことで、就労制限などの判断もより的確に出来るようになる事が期待できます。
安全配慮義務の一環として、産業医が休職・復職に関する面談を実施する場合があります。メンタルヘルス不全や病気、ケガで休職を希望する方のセカンドオピニオン先として、産業医を指定する企業も少なくありません。労働者本人の同意を得て臨床医と情報交換を行い、休職の必要性や期間について意見交換をする事もあります。
復職時期が近づいた場合は、就労上の配慮が必要かどうかも判断します。病気やケガの療養後に無理なく職場に復帰し、労働者の体調に合わせて働き続けられるようサポートする一面があるのも特徴です。
休職に関しては、主治医の診断書が労働者本人から提出された段階で事業社側が休職命令を発令し、休職に入ることが多いです。休職に入る際には出来るだけ安心して療養に専念が出来るように、傷病手当金などの経済的支援に関しての情報や、いつまで休職が可能なのか、復帰の際の手続きなどを労働者本人に説明しましょう。
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復職面談時には必ず主治医の「復職可能」の診断書を準備しましょう。本人から復職の意思表示があった場合には、本人に「復職可能」の診断書の提出を求める事が必要です。
また、復職が可能となった場合に事業者側で対応可能な配慮の範囲やフォローアップのスケジュールなどを事前に産業医と打ち合わせておく事も重要です。
主治医の診断書には復帰に当たって条件が記載されているケースもあります。例えば「リモートワークなら復帰可」や「部署を異動すれば復帰可」といった条件が記載されていた場合に、事業者側での対応がどこまで出来るのかを産業医と事前に調整をしましょう。
主治医は本人に寄り添い、本人の希望に出来るだけ沿った内容で診断書が提出される事も少なくありません。
診断書には復帰可能とあっても、本当に復職が可能か心配な場合には、本人の承諾を得た上で産業医から主治医に本人の状況に関して改めて問合せをしてみても良いかもしれません。
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労働者からの希望があれば健康相談を行い、必要に応じて健康の維持・向上に必要なアドバイスを行います。定期的に産業医との相談日を設けたり、従業員の都合に合わせて産業医に連絡を取ったりするなど、健康相談の方法は企業によってさまざまです。
健康診断やストレスチェックの結果、面接指導の対象にならなかった場合でも労働者の判断で面接指導を受けることは可能です。医学的な観点から相談できる機会を労働者に提供して、従業員満足度(ES)向上につなげる一面もあります。
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労働者が働く職場を実際に確認し、医学的な観点から健康維持や作業環境の改善に関するアドバイスを行うために、産業医は職場巡視も行います。
職場巡視は労働安全衛生規則で産業医に義務づけられている職務です。最低でも月1回以上巡視する必要がありますが、衛生管理者による巡視結果の提供など一定の条件を満たせば2ヶ月に1回以上に回数を変更することができます。また、リモートでの職場巡視は認められていません。
職場巡視に関しては報告書の作成などは法令上定めれれてはいませんが、チェックシートのようなものを準備しておくと、問題箇所の確認がすぐに出来るので有効です。
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近年では働き方が多様化しており、がんなどの治療と両立して働く方や障害者雇用・高齢者雇用で働く方も増加傾向です。満18歳未満や妊娠中の労働者への就業制限などの配慮事項も多岐にわたります。
保健相談などの機会を通じて働き方に関する課題を把握し、合理的配慮につなげることも産業医の仕事内容として位置づけられています。さらに、感染症対策やテレワークに関する就労上の注意点について、管理監督者や人事労務担当者が産業医にアドバイスを求める事例も増加傾向にあります。
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毎月1回以上開催される安全委員会や衛生委員会への出席も、産業医にとっては大切な仕事の一つです。
安全委員会は、職場の安全に関する計画・ルールの作成や安全教育の実施計画などについて話し合う機関です。また、衛生委員会では、労働者の健康障害を防止するために必要な措置や衛生教育の実施計画、労働者のメンタルヘルス対策などを話し合います。50名以上の事業場で特定の業種に関しては、安全委員会と衛生委員会を統合して安全衛生委員会を設けている場合があります。
実は安全衛生法上、産業医が衛生委員会に出席することを明確に定めた法令はありません。ただ、安全衛生委員会は労使が職場の安全衛生に関して討議する重要な会議体になりますので、可能な限り産業医にも出席をしてもらうようにしましょう。
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産業医は、医師の立場・知見から労働者の健康管理をサポートすると同時に、職場の安全衛生を確保する役割を担っています。医療機関に所属する医師とは異なり診察・治療には関与しませんが、国民の健康な生活を確保するという共通の使命感を持っています。
また、面接指導を通じて近年問題視されているメンタルヘルス不全や長時間労働に起因する心疾患・脳疾患の予防に努めているのも特徴です。労働者の健康を守るとともに企業の生産性を高めるためにも、産業医の活用は有効といえます。
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<株式会社メディカルトラスト編集部>
2001年から産業医、産業保健に特化して事業を展開。官公庁、上場企業など1,000事業場を超える産業医選任実績があります。また、主に全国医師面談サービスの対象となる、50名未満の小規模事業場を含めると2,000事業場以上の産業保健業務を支援。産業医は勿論、保健師、看護師、社会保険労務士、衛生管理者など有資格者多数在籍。